貴船神社へ行って来た【京都ぶらり紀行】




 

前回のあらすじ思い立ったから京都へ行こうと思う

 

これは急な思いつきで「そうだ、京都に行こう」と夜行バスを予約し、若さと勢いに任せて古都を巡った男の2日間の記録である。

彼は旅立つ前「京都で狐に会いたい」と謎の妄言を残している。果たして彼の無計画な京都旅はどうなったのであろうか、彼は狐に会えたのだろうか。

(余談だが、京都に狐はいない)

貴船神社へ行って来た

朝方5:30。まだ陽は出ていない。
彼は京都駅前に降り立った。

目の前には、なか卯がある。

彼が人生で初めて立ち寄ったなか卯こそが、この京都駅前店である。

今以上に彼が未熟で鼻水を垂れ流していた頃、同じく京都旅の際に立ち寄ったのだ。

「あれから6年の歳月が経とうとしているが、どういうわけか俺はちっとも成長していないし、相変わらず夜行バスを使っている。経済状況が学生の頃と変わらないとは由々しき事態だ、なんてこった」

彼はマネークリップに挟んだ三枚の諭吉だけを頼りに、電車へと乗り込んだ。

叡山電車には「有頂天家族」の装飾が施されていた。可愛らしい。

 

貴船神社へ向かう為、山道に降り立つひとりの阿呆

京都駅を出てからから50分ほど経ったろうか。彼は貴船口駅へと到着した。

闇夜は東の空から徐々に取り払われ、気付けば晴天の空が広がっている。しかし、とてつもなく寒い。京都とはかくも寒き場所なのか。彼は後悔した。茨城とは違う。凍るような大気が無防備な両手に襲い来る。悴んだ手ではスマホもろくに操作できない。なんてこった。

駅を出て山道へ出ると、ここで問題が発生した。

早朝につき、バスが走っていない。

まさか天下一のスーパー観光地京都においてバスが走っていない時間があろうとは、何たる誤算。よくよく考えれば分かりそうな話だが、彼は阿呆なのでよく考えない男だ。よく考えない男がよくよく考えるだろうか、否、彼は何も考えてはいない。何も考えずに京都の土を踏んだのである。阿呆、此処に極まれり。

「バスが来ないなら歩けば良いじゃない」

彼は軽率にそんな決意をする。
しかし、そこには心を挫くには充分な事実が掲示されていた。

山道を30分、果たしてどれほどの困難だろうか。
彼は運動不足に運動不足を重ねた男だ。階段を上がれば息切れを起こし、少し歩けば筋肉痛、出来れば常にゴロゴロしていたいと怠惰な願望を口にし続ける自堕落のお手本みたいな男である。

「俺には出来る、俺はやる時にはやる男である。
観光のためにここまで来たのだ、今の俺には何でも出来る」

彼は満を持して歩き始めた。しかし3分も経つと文句をこぼし始める。

「俺は出来る男だが、そもそもどうしてこんな朝早くからこんな人どころか車も野良犬も通らない山道を歩いているのか。バスはどうして走っていないんだ。観光地ではないのか、いついかなる時でも走っていてほしい。もう疲れた、家に帰りたい」

しかし彼は歩いた。歩き出してしまったので引くに引けない。


「うるせえ」


「やかましい」


「神社はまだか」

途中で現れた料亭からは美味しそうな香りが漂う。
しかし店は開いていない。当然だ、早朝7時の山奥に客が来るはずが無い。

「腹が減った、足が痛い、帰りたい」

文句のオンパレードの後、彼はついに貴船神社辿り着いた。

写真でしか見たことがなかった。
写真で見たままの光景がそこにはあった。

貴船神社は最強の神社~水神様を祀っている~

京都の中心地からやや離れた場所に位置する貴船神社、全国に約450社ある貴船神社の総本社なのだそう。そもそも貴船神社が全国にそれほどある事さえ知らないミーハーなのに、真っ先に総本社へ来てしまった彼はもう少し身の程を弁えるべきである。

地域名は貴船「きぶね」と読むが、祀っているのが水神であることから濁らず貴船神社「きふねじんじゃ」と呼ぶらしい。


この入り口の光景はけっこう有名。

ちなみに、この神社が造られた理由というのがこれまたすごい。
ある時、神武天皇の母がこう言ったという。

神武天皇の母
水ってめっちゃ重要じゃん?
あたい、これから船で川を上るからその先に水神を祭ろうよ。
そしたらなんかいけそうな感じする。

そうして建てられたのがこの貴船神社。
そのときに「黄色い船」に乗っていたので「黄船→貴船」に転じたとか。「気の産まれる根源」が転じて「気生根」になったという説もある。

こうして貴船神社は水神を祀り、古くから祈雨の神として信仰された。
今では水の神様として全国の料理・調理業や水を取扱う商売の人々から信仰を集めている。ちなみに彼は水を取扱う商売はしていない。

 

貴船神社は最強の神社~「絵馬」発祥の地~

かつて貴船神社では、晴れを願うときには白馬が、雨を願うときには黒馬が奉納された。
しかし時には実際の馬に代わって木の板に描いた馬が奉納されたことがある。
このことから絵馬が発祥した

絵馬発祥の地に来ておいて絵馬を描かずに帰るわけにはいかない。

高校受験以来の絵馬に挑戦しよう。

彼は誰もいない早朝の神社で、ひとり絵馬へと向かった。

しかしここでも問題が発生した。

旅のためにATMで3万円もの大金を準備したというのに、あろうことか小銭が無い。500円の絵馬を購入する事が出来ない。両替機もなければ両替を交渉する相手もいない。

しかし30分も歩いて来て、絵馬を描かずに帰るなどまさに愚の骨頂。

彼は泣く泣く二枚の絵馬を購入する決意をした。


さらば、野口英世。

そうして1000円で願った彼の絵馬がこちらである。

「これでフォロワーが1000人は増えるだろう」

彼は神様を利用してフォロワーを増やそうと企んだ。

ちなみに妻は風邪で寝込んでいる。彼は妻を置き去りに京都へ来ていた。下衆の極み。


この神社、元よりSNSに長けた運営をしている。おそらくこの願いで天罰が下る事はないだろうと踏んでの行動だ。

ちなみに彼のSNSはこちらからフォローできるらしい。
あばば(@ababaisme

 

貴船神社は最強~「丑の刻参り」発祥の地~

彼はきちんと参拝もしてきた。
他の参拝者がいない中、朝の澄み切った空気の中で鳴らす鐘は本当に神様まで届いたような気がした。

「丑の刻参り」という言葉がある。

これは丑の刻(午前1時から午前3時ごろ)に神社の御神木に憎い相手に見立てた藁人形を釘で打ち込むという、呪術の一種だ。怖い。

この「丑の刻」の由来は「丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻」に貴船明神が貴船山に降臨したとの由緒から来ているのだ。

つまり貴船神社は「丑の刻参り」ゆかりの地である。

丑の刻参りのプロ
貴船神社は24時間開門していないから実際には丑の刻参りは出来ないよ

しかしこれも本来は「丑の刻にお願いするのが一番効果があるよ」というだけの話。
貴船神社のパワーはものすごく強いので、「良いお願い」も「悪いお願い」も叶ってしまうという事に他ならない。即ち「良縁」を願えばそうなるし、「縁切り」を願えばそうなる。

お願いをする人間次第なんだよ、ということである。

京都来訪の際には是非とも「貴船神社」で良縁をお祈りしてほしい。

体力と心に余裕がある人は、彼のように歩いて向かうのも良いだろう。
しかし、そうでなければバスの時間を事前に確認する必要がある。


9時以降に貴船口駅へ向かうべし!!!

 

もちろん彼は帰りも歩いて駅へ帰った。帰路は20分くらいだった。まだ時刻は8時前である。
既に満身創痍、疲労感が彼の身体を襲っていた。
しかしここで終わるわけには行かない、彼の京都旅は始まったばかりなのだから。まだ狐に会っていないのだから。

 

余談だが、京都に狐はいない。

続く・・・。【瑠璃光院へ行って来た【京都ぶらり紀行】




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トラベルライター&ブロガー。旅行会社で副店長の順風満帆な生活をぶん投げて、大冒険の日々を送っています。26歳。最近は体型がジャイアンに近付いていることに危機感を感じている。