先斗町へ行って来た【京都ぶらり紀行】




 

前回【金閣寺、銀閣寺へ行って来た【京都ぶらり紀行】

貴船神社で二枚の絵馬を描き、瑠璃光院で門前払いをくらい、
下鴨神社でウンを払い運を祈願し、北野天満宮で牛を撫でた彼は金閣寺・銀閣寺で御朱印を手に入れて宿へと向かった。

Airbnbで手配した京都駅徒歩7分の宿へ向かう阿呆

彼はAirbnbで宿泊予約した宿へとたどり着いた。

京都駅から徒歩7分ほどのアクセス抜群の宿泊先である。

鍵を開けて中へと入る。階段を上がって直ぐの部屋が今宵の彼の寝室だ。

他の部屋には外国からの旅行者が宿泊しているらしく、無邪気な女の子のえげつなく発音が良い英語が聞こえてくる。かっこいい。茨城弁さえまともに話せない彼にとって英語というのはかっこよさの象徴である。

部屋にはベッドが一台と枕元に読書灯。シンプル且つ無駄のないミニマリストの部屋みたいな宿である。これこそ民泊、無駄がない代わりに宿泊費用も1900円と破格の安さ。直ぐ近くにはセブンイレブンもあるのだ、今後の節約旅には民泊が必須になるであろう。

彼は1時間ほどベッドの上でだらけた。体力回復である。

普段全く運動をしないのに朝5時から歩き回ったのだ、そのダメージは計り知れない。

既に足は筋肉痛、油断をすれば睡魔に意識を引っ張られた。

「ここで眠るわけには行かない。俺にはまだやるべき事がある」

 

伝説の「ねこラーメン」

彼は今回の京都旅へ向かう前に、ツイッターでこんな呟きをしている。

ネクラさがにじみ出る彼のツイッターアカウントを見ている人間は、恐らくそう多くはない。

しかしこの呟きに対して一つの返信があった。森見氏好きの41大学生(@1da24h)さんだ。
なんと呼べば良いのか分からいので彼はいつも「よいちゃん」と勝手に呼んでいる。

「ねこラーメン・・・」

彼はその響きに聞き覚えがあった。

そう、何を隠そう猫ラーメンとは森未登美彦氏の「四畳半神話大系」に登場するあの猫ラーメンだ。作中では「猫から出汁をとっていると噂の神出鬼没なラーメン屋」である。これは森見氏のいちファンとして行かないわけにはいくまい。このラーメン屋さん、その名も「はらちゃんラーメン」という。

川沿いの掘っ立て小屋で経営しているのだが、問題はその営業日である。

お店が開くかどうかは店主の気分次第。

毎日夕方になると店が開くのか、休みなのか、店主がブログを更新するのだ。つまりいくら猫ラーメンを望もうともお店が休みであればそれは叶わぬ夢となって消え行く。

はらちゃんラーメン

「とはいえ、今日は2/22。「猫の日」だ。こんな日に猫ラーメンが休みのはずがあるまい」

彼はブログを確認した。

彼は絶望してベッドに沈んだ。

店主は俗世の定めた「猫の日」なんぞに左右されない、ぶれない男のようである。

しかしそれでも彼は睡魔との闘いを制すると、20時前に部屋を出た。

猫ラーメンは食えぬまでも、それに替わりうる最高の夕飯を食する為である。

 

先斗町へと繰り出す阿呆

この名前を読める日本人は果たしてどれほどいるであろうか。

先斗町は「ぽんとちょう」と読む。

「なんと可愛らしく響きの良い名前だろう」

彼はこの語感に恋した。これほど愛らしく、ユニーク且つ頭に残る名前の町は他にあるだろうか。いやきっとあるまい。「ぽんとちょう」。素晴らしい名前だ。漢字で書いたところでそんな可愛らしい読み方だとは到底思えない「先斗町」、少しとがったようなイメージの漢字だが。実際に口に出せば「ぽんとちょう」だ。あなうつくしや。

名作「夜は短し歩けよ乙女」の舞台でもある。

「鴨川を眺めながら食事する」という贅沢且つ風情を楽しめる「懐石料理」の店がひしめきあうこの先斗町。彼は嬉々としてその路地を歩き回った。しかしここで問題が発生した。

「懐石料理とは、かくも高きものなのか・・・」

そこに集う店はどれもが超一流。恐らく極上の味なのだろうが、その値段もまた極上であった。彼は絶望した。しかしそんな心境には関係なく腹は鳴る。「飯はまだか、飯はまだか」腹が彼へと訴えかける。懐石料理の店はそこら中にあるというのに、彼にはその敷居をまたぐだけの財力と勇気がなかった。

「そもそも俺のような男が一人でこのような場違いな店へ入っていいものか」

彼は田舎者のコンプレックスを遺憾なく発揮し、最終的にここへとたどり着いた。チェーン店である。彼の夕飯街道は、東京でも食えるラーメン店にて終幕となった。ラーメンの味はいつもよりしょっぱかった。

しかし、それでも先斗町を歩いた時間は至福だった。

京都らしさ溢れる路地には心が踊るようだった。

もしかしたら黒髪の乙女が偽電気ブランを捜し求め、そこらで彼とすれ違っていたのかもしれない。李白氏との飲み比べ対決馳せ参じたかった。まあ、彼は酒が飲めないのだけれども。

「それにしても、黒髪の乙女はどこにもいない。狐もいない」

腹も膨れたところで彼は爪楊枝をシーハーしながら、ある決意をした。

「京都の狐に会えるのは、もうあそこしかあるまい」

彼は電車に乗り込んだ。
此度の京都旅の目的、「京都の狐に会う」為に・・・、

繰り返すが、京都に狐はいない。

続く。真夜中の伏見稲荷大社へ行って来た【京都ぶらり紀行】




2 件のコメント

  • ツイート紹介いただき光栄です(照)
    呼び方はご自由にどうぞ

    黒髪の乙女も狐はいないのですね…
    残念です:-<

  • 黒髪の乙女と狐に出会える日を目指して。。。
    彼はいずれ再び京の地へ足を踏み入れることだろう。(続)

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    トラベルライター&ブロガー。旅行会社で副店長の順風満帆な生活をぶん投げて、大冒険の日々を送っています。26歳。最近は体型がジャイアンに近付いていることに危機感を感じている。